ほしの、おうじさま
項垂れながら星野君の言葉を受け止めていた私は、思わずそこで顔を上げた。

……妨害?

「これでもかとばかりに最低最悪な、阿久津君の心の声を聞かせたのに、それでも星さんは彼を好きになってしまったんだね」

「……え?」

「下手な小細工なんか通用しない、偽者なんか寄せ付けない、真実の愛だったって訳だ」

私はポカンとしながら星野君を見つめた。

「ま、仕方ないよね」

彼の話はきちんと耳に入っているのに。

「僕も頑張って見つけるよ」

それの解析が追い付かない。

「僕が何者でも、たとえ別の星の生物の血が流れていたとしても……それでも愛してると言ってくれる運命の人を」

「へ!?」

「ああ、もちろん、後半部分は例え話だよ」

星野君はにっこりと微笑みながら注釈した。

「さてと。じゃあ僕はこれを片付けて来るから、星さんは鍵をよろしくね」

ますます大混乱の私を置き去りにして話を締め括ると、星野君は掃除用具を手にさっさか部屋を出て行ってしまった。
心ここにあらずのまま、機械的に電気を消しドアを施錠して、エレベーターホールまで移動する。

▽ボタンを押した所でようやくその疑問が浮上した。

……ほしのおうじ君て、一体何者…!?
< 237 / 241 >

この作品をシェア

pagetop