それは許される恋…ですか
撤回してくるから…と謝られ、「そんなことしなくてもいい」と断った。
「でも…」と躊躇う明香に「一緒に住もう」と告げた。

明香の両親に付き合ってることと同時に同棲させて欲しい…と頼みに行った。
親父さんは頑固な職人気質な人で、「許さん!」と大声で怒鳴った。

自分の親にもここまで馬鹿にされたことはないと思うような言葉を言われ、ムカついた気持ちも確かにあったけど。


「篤哉君が好きなの!お願い!私を家から追い出してっ!」


懇願する娘の涙に負けた様な顔をされた。
渋々…といった感じで、「様子を見る」と託された。


「明香はバイト経験も無いから、きっと貴方が苦労すると思います」


明香の母親はそう言って悔やんだ。
何もかも自分がしてきたことで、明香には家事すらもさせたことが無い…と言った。


「利根川さんが負担に思うのなら止めて。お互いが傷付かないで済むのは今だけだと思うのよ」


父親の激昂よりも母親の愛情の方が心を責めた。

明香を思うのなら俺が手を引かないといけない。
でも、手を引けば彼女は他の男のものになる……。


(それだけは絶対に嫌だ。明香を幸せにできるのは自分だけだ…!)


「心配しなくても平気です。明香さんと一緒に人生を切り開いていきます!」


今考えれば歯の浮く様なセリフを言ったと思う。
明香の母親は何も言わず、困惑した様な笑みを浮かべていた。


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