それは許される恋…ですか
それは母親の役目だ
彼氏の刀根川 厚哉(とねがわ あつや)と知り合ったのは2年ほど前だ。
短大卒業を機に通っていたパソコン教室に、彼も通っていたのがキッカケだった。

当時、同じ教室に通っていたのは8人。
私と厚哉以外は全員がおじさんかおばさんで、若い人と言ったら2人くらいのものだった。

話す相手もいないから言葉を交わすようになった。
自己紹介から挨拶をするようになり、歳を聞いたり住んでる場所を聞いたりしているうちに一緒に帰りだすようになった。

厚哉は情報処理の資格を取る為に教室に通っていると言った。
大学卒業後に勤め始めた企業が倒産して、なかなか次の就職口が決まらないということだった。


「資格試験に合格すれば道も開けるかも…と思って通い始めたんだけど、最近は本当にそうかなぁって迷ってる」

「あっ、それなんかわかる。私も短大卒業して職に就けなかったから通ってるもん」


道を外れた者同士、キズの舐め合いみたいな言い訳をして笑った。
一緒に試験に合格しようと誓い合い、お互い切磋琢磨していたけど。
教室に通い始めて4ヶ月後、国家試験に合格したのは厚哉だけだった。



「……いいなぁ…厚哉君は……」


合格発表者の名前が貼りだされた紙の前で呆然とした。
道を絶たれた今、何をしたらいいのか迷っていた。


「また頑張ればいいじゃん」


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