それは許される恋…ですか
問い返すと耳を疑うような言葉を吐いた。


「桃の奴、俺の胸に縋って泣いたんだぞ。不安だって言ってたから、あんたとのことだろうと思う。そんな奴とは別れて俺と付き合えと言った。桃は言葉の先ではあんたがいるから無理だと言ってたけど、こっちに靡くのは時間の問題だと思うな」


ペラペラと話す言葉の全てを疑った。
明香は一言だってそんな話をしていない。


「嘘だ」と言い返したくても声が出ない程驚いていた。
イケメンの男は冷めた目をしてこっちを見ている。


「あんたが桃を取り零すようなら受け取る。俺ならあいつを無理に働かさなくてもいいし大事にしてやれる自信もある。あんたよりも幸せにしてやることも出来るし…手を引いてやれよ。桃の為を思うなら」


「なっ……ふざけんな!」


抑えきれない感情が押し寄せてきた。
明香の親に言われるならともかく、何でこいつに言い渡されなきゃいけない!?


俺は俺なりに明香のことを思って考えている。
今はその為に我慢を繰り返しているだけだ。

それを何も知らないでこいつは、言いたいことを並べてーー。


「明香から手を引くのはそっちだろ!店長だかなんだか知らねぇけど、明香を振り回すのは止めてくれ!」


恋愛経験もほぼ無い明香が迷っている様に感じられた。
こんなイケメンと張り合えば、自分の方が負けるに決まっている。


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