それは許される恋…ですか
逃げようとした右肘の辺りを掴まれた。厚哉とは違う掌の感触に怯える。


「離して下さい!」


と言うか掴まないで。


「さっきの質問に答えたら離す。結婚するのかしねぇのか。どっちだ」


背後から聞こえる声がさっきよりも近い。白瀬さんが私に近寄ってるんだ…と知った。


「店長に話すことじゃないです!私と厚哉の問題です!」


握られている手を振り解こうとしたけど返って力強く握られる。
ドキンと弾みをつける胸の音を聞いて、要らない行動は取らないようにしようと決めた。


「桃はあんな先のことも決められねぇ奴の何処がいいんだ!?」


腹が立ったような声で聞かれ、ゴクッと喉が鳴る。
真っ直ぐな目を向けているであろう白瀬さんに目線も送れず、ただ黙って地面を見ていた。


「あいつは桃を苦しめてるだけじゃねぇか。将来の約束もせずに自分のいい様に扱ってる。そんな男に擦り寄って生きるのは止めとけ。俺に乗り換えた方がいい!」

「乗り換えるなんて、そんな…」


軽々しい言い方に抵抗を覚えて振り返った。
厚哉のことも白瀬さんのことも、そんなふうに軽く考えたりしたことはない。


「桃はどうしてあいつと一緒に住んでる?金も無いしイケメンでもない。あるとしたら体か?SEXが巧いのか?」


白瀬さんの言葉にかぁ…と顔が熱くなった。
巧いとかそういう意味ではなく、言葉自体がいやらしく聞こえた。


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