それは許される恋…ですか
見下ろされる目線に仰け反る。
白瀬さんの目の鋭さに思わずビクッとなってしまった。


背中をロッカーに押し付けられ、身を乗り出すように覆い被さってくる白瀬さんの腕が伸びる。
怖さと驚きで身を縮めた私の肩を押さえ込むようにして耳の側で囁いた。


「SEXなら俺だって教えられる。料理と同じようにお前を仕込んだっていい」

「えっ…」


声を発した唇を白瀬さんのが覆った。
さっきまで食べていた中華風な炒め物の味がして、ヌルッとしたものが口の中に入った瞬間、(嫌だ!)と思わず抵抗した。


「…桃…」


私の抵抗は白瀬さんの衝動に拍車をかけてしまったらしい。
肩に乗っていた手が背中に周り、グイッと体を前に押し出した。


もがいても離してくれない。
唇は激しく吸い付かれて、まるで食い付くように舌先が絡んでくる。


「ん…っや…んんんっ……!」


舌の絡み合う音が事務所の中に響き渡り、理性を無くしてしまえば直ぐにでも溺れてしまいそうなキス。
味わったことのない快感に頭がクラッとしてくる。
それでも、やはり受け入れられずに何とか体を引き離した。


荒く乱れた呼吸をしているのは私だけじゃなかった。
私の頭上から見下ろしてる白瀬さんも赤い顔をして息を弾ませてる。

私は唇を手の甲で隠した。
舌にも口腔内にも彼の感触が残ってる。



「桃……」


白瀬さんの呼ぶ声に反応してる。
ドキドキと胸が踊り、自分が完全に乱されたことを知った。


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