それは許される恋…ですか
洗い終わると直ぐに干す場所もないから袋に入れてコインランドリーへ向かう。
行きながら晩ご飯の献立を考え、帰りにスーパーへ寄ろうと決めた。


(今夜はお鍋にしよう。野菜は高いけど奮発するんだ)


いつもと違うことをしていないと落ち着かないほど気持ちは乱れきったままだった。

厚哉が少しでも早く帰ってくることを願いながら乾燥が終わるのを待ち、仕上がったカバー類をたたんで袋の中に押し込んだ。


スーパーへ向かい出す頃、粒からぼたんに変わり始めた雪は路面へと積もりだしている。
道路の端っこには朝からの分が降り積もり、こんもりと小さな山が出来上がっていた。

冷え込んだ空気の中を歩く時が一番何も考えなかった。
寒くて頭の中も凍ってしまい、思考力も追い付いてなかったのかもしれない。


スーパーでは高値だと言われている白菜やネギは入荷も少なめで、もやしが山のように積まれてあった。
その中で最初に決めていた通りのものを買い求め、厚哉の好きなキムチ味の鍋にしようと出汁を揃えた。

シーツの入った袋と食材の入ったエコバッグを両手に持って歩きだす。
傘も差さずに歩いている頭には雪が降り積もり、せめてフードくらい被れば良かった…と後悔した。


部屋に近づいてきた頃、ふと頭の上から落ちていた雪がないことに気づいた。
止んだのだろうか…と顔を上げてみると、目線の先に傘の先端が見えている。



(えっ…)



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