それは許される恋…ですか
持っていた箱を置かれ、その手を握って連れて行かれる。
寝室の床に座らされて、斜向かいに彼が腰を下ろした。


話があるのは自分も同じだった。
自分の話をする前に彼の話を聞いた方がいいんだろうか。


精神統一でもしてるかのように目を伏せていた厚哉の顔を覗き込み、話し始めるのを待つ。
なかなか話し出そうとしない彼の口元を見つめながら様子を窺うように聞いた。



「話って…何?」


催促されるのを待ってたかのように目を開けた。
躊躇ってたのとは別の雰囲気で、息を吸ってから吐き出した。


「明香は俺と生活していて幸せか?他の誰かと住みたいと思ってるんじゃないのか?」


思わぬ質問に軽く頭を叩かれたようなショックを受けた。
呆気に取られたこともあり、呆然と彼のことを見つめてしまう。


厚哉は表情も変えずに私の答えが返るのを待ってるみたいだった。
その目元は真面目で、どうしてそんなことを聞くのか不思議でならない。



「…何それ」


上手い具合に言葉が出てこなかった。
信じられないんだろうか…と、心の隅で思っていたせいもある。


「どうして私が厚哉以外の人と住むたいと思うの?そんなの考える訳ないよ」


「…相手があのイケメンでもか?」


イケメンと言われ、誰のことかと迷う。
首を捻りながら考え、もしかして白瀬さんのことを言ってるんだろうかと察した。


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