それは許される恋…ですか
「店長のことを言ってるの?どうして私が彼と住むの?」


意味がわからないことばかりを言いだす。
厚哉の思ってることが全く理解できない。


「あいつに縋り付いて泣いたんだろう?不安だって漏らしたんだってな」


数日前のことを持ち出されて狼狽える。
縋り付くも何も、あれは白瀬さんが私に胸を貸してくれただけのことだ。


「違うよ。私から縋った訳じゃない!」


勘違いをしないで欲しいから声を上げた。
私が厚哉以外の人の胸に、自分から縋っていく訳がない。


「不安だって言ったのは本当なんだ」


冷静な判断を付ける厚哉に驚きながらも息が詰まる。
何を言っても正しく理解してもらえなかったらどうすればいいんだろう。


「厚哉、あのね……」


私は確かに不安だと思った。
厚哉の気持ちがわからなくて、先のことも見失いそうになってた。

白瀬さんに言い寄られてグラつきもしたし、さっきは激しいキスに惑わされそうにもなった。

好きだと言われて夢みたいな心地に陥った。
信じられないけど、信じてみたいような気がした。


でも、頭の中にいつも居たのは厚哉だけで、彼の笑顔が見たくて頑張ってたんだ…と思い出した。

パート勤めで時給制なのに働き詰めてばかりいる彼と、話もできない程すれ違ってる毎日だけど一緒に居たい。

先がどんな結果になってもいいから厚哉の側に自分が居たいからいるんだ。

不安だと思ったけど、それは自分の気持ちすらも見失ってたから。


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