それは許される恋…ですか
ポタポタ…と落ちる涙を拭わずに言った。
厚哉の顔を見ながら打ち明ける言葉は、どれもずっと言いたくても言えなかったものだ。


「私の心は厚哉のことで一杯なの!誰も入れないほど厚哉しかないの!」


どんなに不安定でもいいから一緒に居たい。厚哉と二人で居られたらそれだけで十分幸せ。


「必要とされる存在であり続けたい!その為なら何だってできる!だから私を求めて欲しい!厚哉以外の人に触れられたくなんかない!」


ぎゅっと体に抱きついた。
よく食べるくせに痩せてるウエストに手を回して、その体を確かめる。

厚哉の手が頭の天辺を触る。髪の隙間に入り込んできた指がくすぐったくて、すーっと気持ちが楽になってく。


「明香が欲しい」と囁く声に頷く。
厚哉と同じくらい、私も彼のことが欲しい。

顔を上げると白瀬さんが触れた顎の先に厚哉が指を立てた。勿体ぶったキスをして、じっと私を見下ろしてる。



「何…?」


薄目を開けて聞いたら目元が半月状に細くなった。首を傾ける私の耳元にキスをして、笑うのを堪えるかのように囁く。


「色っぽい唇。何度でも吸い付きたくなる」


言ってる先から塞がれていく。
反論も何も言えないほど吸い付かれて、まるでさっきの白瀬さんとのキスを見られてたみたいな錯覚を覚える。



「厚哉……」


誰とどんなキスを交わしても厚哉のがいい。
激しく吸われても甘くて、何処か優しい感じがする。


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