それは許される恋…ですか
こんな時間に店に来るのは誰だろうかと思い、足音に耳を澄ます。
カタン。
事務所のデスクの上に荷物を置く音がしてる。
店長に違いない…と思いつつ、挨拶するべきかどうか迷った。
息をするのにも緊張した。
来ないと言ってた人が来ることを想定してなかったせいもある。
そ…とロッカーの扉を閉めたくても、どうしても音がする。
カチン…という音にデスクからの反応がしなくなる。
私と同じように、白瀬さんも緊張してるんだ…と思った。
ドクドク…と血液の走る音のような動悸を感じながら厨房へ行こうとした。
響かなくてもいいのに、バッグヤードの中に足音が響いていく。
「桃」
呼ばれるけど振り向けない。
私には厚哉しか居ないんだと、昨夜十分知ったから。
ゴクン…と唾を呑み込んだ。
惑わされないんだ…と思って振り返ると、白瀬さんはホッとしたように口元を緩めた。
「……おはようございます」
態とらしく語尾に「店長」…と付けた。
この人は私の尊敬する上司であって、恋愛感情のある相手じゃないんだと思わせる為に。
「おはよう」
返してくる声が暗い。
昨日のことを反省しているようにも聞こえ、隙を見せた自分にも非があると思った。
「今日もよろしく頼む」
母親のことを言ってる。
声には出さず、こくっ…と力強く頷いた。
カタン。
事務所のデスクの上に荷物を置く音がしてる。
店長に違いない…と思いつつ、挨拶するべきかどうか迷った。
息をするのにも緊張した。
来ないと言ってた人が来ることを想定してなかったせいもある。
そ…とロッカーの扉を閉めたくても、どうしても音がする。
カチン…という音にデスクからの反応がしなくなる。
私と同じように、白瀬さんも緊張してるんだ…と思った。
ドクドク…と血液の走る音のような動悸を感じながら厨房へ行こうとした。
響かなくてもいいのに、バッグヤードの中に足音が響いていく。
「桃」
呼ばれるけど振り向けない。
私には厚哉しか居ないんだと、昨夜十分知ったから。
ゴクン…と唾を呑み込んだ。
惑わされないんだ…と思って振り返ると、白瀬さんはホッとしたように口元を緩めた。
「……おはようございます」
態とらしく語尾に「店長」…と付けた。
この人は私の尊敬する上司であって、恋愛感情のある相手じゃないんだと思わせる為に。
「おはよう」
返してくる声が暗い。
昨日のことを反省しているようにも聞こえ、隙を見せた自分にも非があると思った。
「今日もよろしく頼む」
母親のことを言ってる。
声には出さず、こくっ…と力強く頷いた。