それは許される恋…ですか
だったら私は何を言えばいいのか。
体の心配も転職も勧めてはいけないなら、何をしてあげればいいんだ。


「もう…どうしていいか分からない……」


1年以上一緒に暮らしているのに、この頃の厚哉は何を思っているのか話してもくれなくなった。

日に日に私と距離を置こうとしている。

彼が違うと言ったとしても、どうしてもそんなふうにしか受け取れない。



悶々としながらお湯に浸かり、髪を乾かして部屋に戻ってみればーー



「寝ちゃってる…」


テーブルには2本目の缶ビールが開けられ、それのつまみのように食べられた夕食のおかずの肉じゃがが残されている。



「厚哉……」


声をかけても起きそうにない彼を抱えてベッドへも行けず、仕様がない…と毛布を上から引っ掛ける。



「これも母親の役目みたいなもん?」


厚哉がそう言うならそうなんだろうか。
最初は恋人のつもりだったのに、同棲期間が長くなると同時に家族みたいなものになってしまったんだろうか。



「私はまだ恋人のつもりだけど…」


確かに最初の頃のようなトキメキもドキドキも減った。
エッチの回数も激減したし、厚哉が仕事を変わってからはずっとご無沙汰みたいな感じになってる。



(もしかして、私以外の人とシてる?)


そんな疑いの目を向けたくなるくらいストイックな毎日。


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