それは許される恋…ですか
タイムカードも押さないといけないし、時間には余裕を持って厨房にも入りたい。
アパートを出て職場まで一気に走り、「セーフ!」と言いながら事務所の机上にあるタイムカードを差し込んだ。


「オッケー、ジャスト8分前」


7:52の文字が並んでいるのを見て満足する。
ロッカーへ急ぐとチズちゃんが居て、早くも喫煙コーナーで一服していた。


「おはよう。チズちゃん」


年齢は少し下だけど、チズちゃんは私よりも長くこの店で働いてる先輩。


「明香さん、おはよう〜!」


ヒラヒラと手を振って答える彼女は、今日は接客係だと言った。



「いいなぁ、私は調理場よ」

「じゃあ店長と一緒ですね」


一瞬ギクッとしながら「うん…」と答え、洗い替えたバンダナとエプロンを身に付ける。


店長の白瀬さんはほぼ毎日調理場を担当している。
たまのローテーションで一緒に仕事をすることがあるが、その度にいつも睨まれているような気がする。

彼は有名レストランの厨房経験もあり、面接時に私のことを「ど素人」だと言い放つくらいの調理技術を持っている。

だから絶対に粗探しをしてるんだろうと思う。
違うと言われても、絶対にそうだと言いたくなるくらいに視線が鋭い。

彼と調理場を担当するのは苦手。
作っているのはたかが弁当のおかずだけど、いきなりメニューを手作りにしようと言い出すから嫌だ。



「今日のハンバーグは手仕込みでいこう」


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