それは許される恋…ですか
「悪っ!平気か?」


さすがの鬼が心配そうな声を出した。


「大丈夫です。ちょっと頬を掠めただけです」


ほらほらと頬を見せて安心させる。
自分では状態がわからないけど、そんなに痛くもないから平気だと思う。


「バカ。見せないで早く冷やせ!」


さっさと水場へ行けと命じる。
「はーい」と間延びした声を返して、ラッキーとばかりに水道へと向かった。


ザーッと水を流しながら、玉ねぎの掠った辺りを撫でる。
「少し赤いよ」と話す菅さんに「平気ですよ」と言っていたら白瀬さんが来た。



「見せろ」


グイと顎を掴んで自分の方へ向ける。
こっちは厚哉以外の男性からそんなことをされたのは久し振りで、ついドキンと心臓が跳ねた。


「点くらいの大きさか。だったらこれで暫く冷やしてれば大丈夫だな」


冷凍室から取り出したらしい保冷剤をピタッと頬に当てる。
声も掛けずに押し付けるもんだから、ビクッと背筋が伸び上がった。


「ひゃっ!」


驚いた拍子に目を瞑り、開けながら抗議の声を発する。


「何するんですか、もうっ!」


目を向けると思っていた以上に距離が近くてドッキリ。
間を空けてもイケメン風な顔が側にあって、思わずさっと目線を逸らした。


(ビ…ビックリした…)


ドキドキとしながらも心のうちで嫌味を思う。


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