それは許される恋…ですか
誰もそんなことをして欲しいとは頼んでない。
厚哉との間接キスだけで良かったのに、何であんたの唾液まで食べる羽目になるんだ。


「ひどーい!」


今のは絶対嫌だ。


「一々うるさい奴だな。取っても酷いと言うし、返しても酷いと言う」

「当たり前です!私は厚哉の食べ残しを食べるのを楽しみにしてたのに」

「ああ?食べ残し?お前、彼氏の食べ残したやつなんかを入れてきてるのか」

「そうですよ!っていうか、店長には関係ないことでしょ!」


勿論食べ残し以外も入れてきてる。でも、それを共有するのがしたいんだ。


「…ったく、人の気も知らないで」


ブツブツ言いながら箸を伸ばし、厚哉の唾液が付いた肉じゃがの残りを味わう。



「うん。美味しい」


自分は昨夜も食べたけど、一晩経つとまた味が染みてる。


「アホか」


白瀬さんはカレーを食べ続けながら呟いた。


「彼氏に食べさせればいいんだ。折角作った物を粗末にするなって」

「そんなのヤです。厚哉には毎日きちんと作り直したものを出したいんです」

「残されてもか」

「残されることなんてあまり無いです」


昨夜だってビールを2缶も飲まなきゃ食べきれた筈なんだ。
でも、疲れてたから飲みたい気持ちが優先されただけで。


「お前はバカだなぁ」

「何がですか」

「俺なら何があっても彼女の作った物は食う。例えばどんなに体調が悪くても、俺の為に作ってくれた物なら食べきる!」

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