それは許される恋…ですか
流される日
「飯だぞ」と言いながら白瀬さんが出してくれたのは朝ご飯だ。海苔の巻いた大きなおにぎり1個と豚汁の二品。


「ありがとうございます。いただきます!」


ミニトレイごと受け取り、立ったままで食べる。
開店してから10時までは、座ってる暇もあまりない程忙しい。


(あっ…生姜の香りがする…)


店長の作る豚汁には生姜のすりおろしが入ってる。
冷えた寒い朝にはこれがとても有効で、すぐに体が温もる。


(それにこのおにぎり、私が好きな具だ…)


鮭弁当に入れる塩昆布とつぼ漬けのたくあん。
塩分は多くなるけど、この組み合わせは絶妙に美味しい。


「…美味いか?」


私が黙って食べてるのを向かい側から見てた白瀬さんが聞く。


「ほひひいへふ」


海苔を噛み切ろうとしてたところに話しかけないで。
言ってる言葉がハッキリしないじゃないの。


「そうか、ならいい」


美味しいですと言ったのを理解されたようだ。
ニコッと微笑まれ、どうリアクションを返していいか迷う。

知らん顔したままやっと噛み切れた海苔を味わって思い出した。厚哉の方は、おにぎりを全部食べきれただろうか。



「さっきさ…」


向かい側で豚汁の入ったお椀を片手に立ってる白瀬さんが言いだす。
「ん?」と目だけ向けて、言葉に耳を傾けた。


「桃の彼氏、俺が「桃」と呼んだら恨めしそうな顔してたな」

「…えっ。そうですか?」


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