それは許される恋…ですか
私の断言に「どうしてですか?」と粘るチズちゃん。
お見合いが絡んでるからとは言えず、「好きだからよ」と短絡的な答えを喋った。


「好きでも選択肢には入れてもいいと思いますよ。あの人は」


チラリと後ろを振り返り、揚げ物をしている店長を見つめる。


「明香さん知ってますか?店長って、この店の親会社から派遣されてる人なんですよ」

「えっ!?そうなの?」

「そうです。しかも、その親会社の社長が父親なんです」


つまり白瀬さんは社長の跡取り息子なんだと言った。


「わかります?謂わゆる『御曹司』という立場なんです」


「おん……ぞうし?」


自分の世界とはかけ離れてる様な気がして言葉に詰まった。
チズちゃんは神妙な顔をして、「そうです」と詰め寄る。


「明香さんだって印刷会社を経営するお父さんがいるんでしょう?だからお似合いですよ」

「お似合いって……私の父は小会社もいいところよ?」


吹けば飛びそうな程小さな会社。
中堅どころのオフィスとコネを結びたくて、私を無理にお見合いさせようとしてたくらいだ。


「それなら余計でもいいじゃないですか。店長の奥さんになって、お家を盛り立てて貰えば」

「ヤダ!絶対に!」


私の拒否する声が響いたせいで、揚げ物をしていた白瀬さんが振り向く。


「コラそこ!喋ってねぇで仕事しろ!」


大きな声で怒鳴られてしまった。


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