それは許される恋…ですか
「は〜い」

「すみませーん」


気の抜けた返事をして「後で」と言い合った。
その後は黙々と幕の内のおかずを詰め、保育園児用のお弁当を作り上げていった。




「ありがとうございました!」


11時に予約の弁当を引き取りに来た保育士さん達は、店長の顔を見るなりポ〜ッとしていた。
バスへの積み込みを手伝う白瀬さんも、爽やか過ぎるほどの笑みを浮かべている。



(鼻の下伸ばしちゃって)


チズちゃんも言ってたけど、私をずっと見てたというのは嘘だったのか。
結局何だか言っても、彼も男なんだ…と思う。


(厚哉はどうだろ)


彼の勤めてるオフィスにも女性社員は大勢いる筈だ。
私よりもシッカリしてて、気配りも目配りも出来る女性が多いと思う。

そんな人達と私を比べたりしてないだろうか。
比べてみた結果、私が劣っていると感じて、最近は触れ合ってもこないのか。


(私だって正社員として働きたいよ。でも、面接には自信もないし怖い…)


学生の頃、次々と届く不採用の結果に恐怖を覚えた。
自分はこの世に必要のない人間だと言われてるような気がして、怖くて仕様がなかった。


仕事が決まらないなら資格を取れと言われて通わせてもらったパソコン教室。
チズちゃんの言うところのお嬢様の暇潰しだと取られても仕方の無い結果が出てしまった。


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