それは許される恋…ですか
胃袋を掴めたら関係は崩れない。
どんなに時間的なすれ違いができても、きっと笑い合えるように感じた。


(今は少しだけ疲れてるけど……)


このミネストローネを一緒に食べれば笑い合える。
それから一緒にお風呂に入って、今日こそは彼と触れ合うんだ。


ベーコンを炒めてから野菜も炒め、スープで煮込む。
トマトが安くなかったからケチャップとホールトマト缶を開けて煮る。


暫く煮込んでいたら野菜にも火が通り始めた。
そろそろ厚哉も帰る頃…と、マカロニを入れて火を弱める。


ちらっと壁の上部に掛けた時計を眺めた。
走ってくよ…と言った割に、厚哉が出かけてから既に30分が過ぎている。



(おかしいな…遅い…)


おにぎりが少なくて悩んでるんだろうか。
それとも途中で何かがあったとか?


(もしかして事故…?)


コンビニまでの道は狭くて暗い。
車道と歩道を仕切るガードレールもロックジェットもない。


不安になってドアを開けた。アパートの敷地の出入り口を見ても、やっぱり帰ってくる様子は見られない。
玄関の三和土に脱いでたクロックスを履いて外へ飛び出す。
真っ暗な空と敷地に広がる薄暗さに、ゾッとしてしまった。


(あーもう、やっぱり私も行けば良かった…)


不安になるくらいなら一緒にいた方がいい。
普段でも不安にはなるけど、恐怖に近い不安じゃない。


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