それは許される恋…ですか
言い直したのは何故かと言うと、店長さんの顔が俄かに曇っていくのが感じ取れたからだ。



(落ちる…)


咄嗟にそう思って明日からでもいいと言ってしまった。
それを確認した彼は、嬉々とした表情を見せて告げた。


「オッケー。採用します」


アッサリと決められ、唖然と見つめる。


「調理の方はおいおいやって貰うとして、先ずは接客と炊飯係から頼む。あっ、俺は店長の白瀬 弦(しらせ げん)。後の人達はまた明日紹介するから」


簡単に時給と公休の説明を受け、それじゃあお疲れ様…と言い渡された。
あれよあれよいう間に面接は終了。呆気に取られながらも「失礼します」と深く頭を下げて立ち上がり、入ってきたドアのノブを握ると後ろから声を掛けられた。


「明日からは動きやすい服装で来て。靴は長靴を自前で用意するか、ここにあるのを使う様になるからね」


「はい…」と面食らいながら表の道に出てみれば、まだかまだか…と気にしていた様子の厚哉が近寄ってくる。



「どうだった?」


ハラハラしているところを見ると、それなりに心配はしていたらしい。


「何だかわからないけど、明日から働くことになったみたい」


あれ程次から次へと採用を断られてきた私なのに、どうしてこんな時ばかり受かるんだよ…って感じがする。


「そっかー。やったじゃん!」


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