それは許される恋…ですか
翌朝目を覚ますと、厚哉はベッドの中で規則正しい呼吸を繰り返していた。
昨夜もやっぱり触れ合いはなくて、私は先に休むと言い、ベッドの中へ潜り込んだ。



「おやすみ」


背中を向けたままでパソコンに向かう厚哉の様子を窺った。
仕事から帰ってきても毎晩のようにプログラムのテストをしてる。


「私と別れたい?」

そんな言葉を切り出せずに眠りについた。
厚哉がいつ布団に入ってきたのかもまるで知らないで朝になっていた。


眠い目を擦りながらベッドを降り、洗面所へ向かう。
四角い鏡に映る自分を見つめて、顔が浮腫んでいるのに気づく。


「あーあ。やっぱり」


クリームパンみたいにモッタリとした頬の肉を摘む。
夜中に食べた食事のせいで、顔だけでなく指の関節までが浮腫んで曲がりにくい。


「昨夜はおにぎりとミネストローネしか食べれなかったなー」


ブツブツ言いながら洗顔する。今朝も水は飛びきり冷たい。
バシャバシャ…と飛沫を上げた後で、浮腫を取るようにマッサージする。
心なしか瞼も腫れぼったく感じるのは、きっと昼間に泣いたせいもあるんだろうと思う。


(…お湯になってきた…)


生温い湯を手で掬って顔に残った洗顔フォームを洗い落とす。
それから直ぐに保水して、メイクをしようと部屋に行った。


厚哉は起きそうにないくらいよく寝てる。
昨日はやっぱりたまたま早起きをしただけだと思う。

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