それは許される恋…ですか
(…今日はきっと店には来ないよね)


ミネストローネもあるから食べて…と昨夜のうちに頼んでいた。
だから、今朝はゆっくりめに起きると思う。


(いつも何時頃に寝てるんだろう?)


厚哉が布団に潜ってくるのを覚えてないくらいに寝入る自分も情けないけど、昨日は夕方に眠っていたから絶対に寝られないだろうと踏んでいたのに熟睡していた。


(全く…早朝勤務なんて了解しなきゃ良かった…)


スッピンに近いメイクをして出掛ける。
昨日と同じように真っ暗な空の下、店までの5分間をダッシュした。



「早いな」


事務所のシャッターの鍵を外し、上に押し上げようとしていた白瀬さんが足音に気づいて振り返った。


「毎朝走ってくるのか」


ハーハー…と息を弾ませたまま「はい」答えると、「感心、感心」と子供のように褒められる。


(バカにしてー)


声には出さないけどムッとくる。
白瀬さんは昨日と同じように事務所のドアを開けて、「先に入れ」と促した。


「すみません」


脇を擦り抜けようとしたけど止められる。
目の前に翳された腕を見て、何事?と思いつつ目を向けた。

その腕が急に曲がって体を羽交い締めにされた。
ビクッと背中の筋が突っ張り、白瀬さんの体に凭れる。


「隙あり」


優しい声が耳の側で響き、ドキン…と胸が弾んだ。


「な、何するんですか!」

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