それは許される恋…ですか
今日から会ったこともない店長のお母さんと仕事する。
デイリーキッチンの親会社の社長の奥さんとは、どういった感じの人なんだろうか。


(もう少しメイクに手をかける?)


いつものスッピンに近いメイクを見ながら思ったけど。


(いいか、この方が自分らしいし)


きちんとメイクした顔を見せたいのは白瀬さんのお母さんじゃない。
メイクした顔で会いたいのは、今ベッドの中で丸くなってる人だ。



「行ってくるね、厚哉…」


耳たぶに唇を近付けて声を発した。
返事もしてくれない彼に泣きそうになりながら部屋を出ていく。



「寒っ…」


雪でも降り出しそうだなと空を仰いで見れば重たそうな雲に覆われてる。



「嫌な天気」


呟いて走り始めた。
走り慣れた通い道が、まるで棘だらけの様に感じた……。




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