それは許される恋…ですか
デイリーキッチンに到着すると、既に事務所のシャッターは上げられてた。
白瀬さんは早々と出勤しているらしく、私はドアを開けて中へ入る。



「おはようございまーす」


か細い声で挨拶してみても、誰の声も返らず。


「もう厨房に行ってるのかな?」


それなら急がなきゃ…とタイムカードを機械に押し込み、印字された数字も確認せずにロッカーへ向かった。

カタン…と扉を開けて中を確かめながら、昨日のチョコレートのような存在を探す。

不安や苛立ちを取り除く材料みたいに思える物。
私にとって白瀬さんのくれた物は、いつの間にかそんな支えになってるのかもしれない。


(白瀬さん本人にも支えてもらいたいの?私……)


自問を繰り返しながらエプロンとバンダナを身に付ける。
厨房に入ったら暗い顔なんてしない…と決めて、裏口の方へ回った。



「おはようございまーす!」


ドアノブを握りしめて開けた時、いつも以上の声を張り上げてみた。換気扇の回る厨房では、白瀬さんの焦る声が響いてる。


「それはいいからこっちをやれよ!あーもう、それは今から来るパートがするからいいって!」


イラつく声を上げながら、本人の周りでちょこちょこと動き回る人がいる。


「だってこの方が早いし楽よ。あなたは手が使えないんだから私にあれこれ言わなくてもいいの」


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