鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
どうも、葵く…葵は私よりも一枚上手なのかもしれない。
『葵〜、葵…んー…なれない』
『慣れろよ…てか、家まで送るよ。
付き合わせたんだし、暗いからね?』
葵の言葉に辺りを見渡すと、確かに店に入った時よりは暗くはなってきてはいたけど。
一応まだ夕日は出てるし、そこまで暗くもないから…大丈夫だと思うんだけどなぁ。
『はい、変な顔しねえの。
送るから、家、案内よろしく』
『別に良いのに』
断った私の腕を引いて、適当に歩き始めた葵の背中を、軽くバシッと叩いてみる。
『……地味に痛いんだよね、背中って…』
『勝手に進むから悪い‼︎』
『まぁ、身長の差だな』
私の言葉に、からかうように笑ながらそう返した葵を軽く睨みつけて、わざと早足で歩く。
うん、なんか悔しいし。
身長低いのは認めませんよ‼︎
『怒るなって!』
『怒ってません〜』
そう言いながらも振り返らずに歩き進める私を見て、葵が後ろでやっぱ怒ってるじゃん。なんで呟いたのが聞こえた。
怒ってる訳じゃなくて、イタズラ…っていうか、からかわれたヤツの仕返しのつもりなんだけどね?