鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!


俺は、お前に用があるんじゃなくて真白に用があるんだけど。


少なくとも、敵意むき出しのお前と仲良くなんてできねえよな、普通は。



『……斎藤。お前、風花の事好きだろ?』



2年4組の近くの空き教室に入った途端聞こえてきた祐希の直球すぎる言葉に、思わず固まる。



改めて言葉にして言うとなると、少しの勇気はいるわけで。



小さく息を飲み込んで軽く頷き、肯定の意を示す。




『じゃあ、気づいてると思うけど。
俺も風花の事好きだから。

譲ろうなんて考え全くないんで』



『……だろうな。

俺も、同じ意見だ』



あー俺、こいつとはなかなか気があうかもしれない。


多分だけど、祐希は祐希で同じ事思ってると思うけど。



『じゃあ、俺戻るから』


一足お先に真白のところに戻るため、手をヒラヒラと返しながら空き教室を出る。



あそこまで堂々とライバル宣言されたら、なんかもう清々しいんだよな。



なんて考えてたから。




『まぁ…冗談だけど。

これで少しは積極的になってくれれば良いんだけどな?』


なんて笑いながら呟いていた祐希の言葉が聞こえる事はなかった。





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