鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『……諦めるって、昴の事?』
少し驚いたような声色でそう聞いてきた中嶋君に頷く。
『風花ちゃん、昴の事好きなの?』
そう真剣な顔で聞いてきた中嶋君に、少しだけ間を空けて小さく頷いた。
……中嶋君の真剣な顔、初めて見た。
『好き…だけど。
斎藤君は飛鳥ちゃんが好きなんでしょ?
だから、大人しく身を引こうかなって…』
耐えるなんて私には無理だったから、仕方ないことだとか思ってるけど。
『……それで良いの?』
良い訳…ないじゃん。
中嶋君の言葉がどうしても私を責めてるように聞こえてきて。
聞きたくなくて、その場から立ち去るように足を動かした。
私は結局逃げてばっかりだ。
だから斎藤君も振り向いてくれないし、葵に余計な気を使わせる。
『……風花!』
みっちゃんが私の名前を呼ぶ声とともに腕を引かれて立ち止まる。
立ち止まった私の前に回って、唇を噛み締めたみっちゃんが、強く私を抱きしめた。