鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
分かってるくせにわざと聞く所が、真翔らしい。
『……真白…じゃないな。
風花の所だよ』
そんな真翔の斜め上を行くように、ニヤッと笑い返してから屋上を飛び出す。
空き教室は一階で、ここは4階だから…結構距離はあるな。
心の中で舌打ちをして、階段を飛ばしながら駆けおりる。
『……ここか』
空き教室の目の前にたどり着くと、確かに中から2人の話し声が聞こえてきて。
1つ、深呼吸をしてからドアに手をかけた瞬間だった。
『……風花。
本気で、俺と付き合ってくれない?』
中から、そんな葵の声が聞こえてきたのと、俺の中に焦りが生まれたのはほぼ同時で。
気づいた時には、勢いよく中に入って真白を後ろから抱きしめていた。