鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『風花。俺、友達やめるとか言われても困るから』
『言わないよ。そんな事』
『……じゃあ、俺教室戻るよ。
ちゃんと仲直りしろよ?』
そう言って真白の頭を撫でた葵が、俺の眼の前で立ち止まった。
『……譲る』
それだけ言ってまた歩き始めた葵は、振り返ることなく空き教室を出て行った。
……何だよ、この気まずい空間は。
この雰囲気を作ったのは、多分俺だけど。
文化祭の事も謝れてない。
一度も話さないまま避けられ続けるのはさすがに堪えたし。
謝らないと。真白に。
『……斎藤君』
俺よりも先に口を開いたましろに、出かけた言葉が遮られた。
『私ね、さっき見ちゃったんだ』
『……何を?』
真白の声に元気がないのが気になって、そう聞き返す。
見たって、何を?
何を見たから、そんな声色になるんだよ。
『飛鳥ちゃんと付き合うんだよね?』
意を決したような表情で言った真白の言葉に、ガラにもなく首をかしげてしまう。
いや、だっておかしいだろ。
何を見たから俺と飛鳥が付き合うことになってるんだよ。