鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『隠さなくてもいいんだよ?』
『……隠すも何も、付き合ってねえ』
俺はお前が好きなのに、何で飛鳥と付き合うんだよ。
何てこと、言えたら楽だけどそんな簡単にはいかない。
『盗み見るつもりはなかったよ?
偶々見えちゃって……斎藤君が、飛鳥ちゃんとキスしてる所』
俺と飛鳥がキスしてる所…って、さっきの告白の時の…?
『あれは…違う』
『違うって何が?
ちゃんと見たんだから、隠さなくても良いんだよ?』
『だから…あれはイキナリだったから避けられなかっただけだ。
飛鳥とは、付き合ってない』
いつまでも信じない真白にしびれを効かせて、言い聞かせるように強めにそう言う。
『……本当?』
『……ああ』
また勘違いされないように、自分の意思を込めて強く頷いてみせる。
『文化祭…約束破ったのはどうして?』
まるで聞きたくないことを無理やり聞いているような声色に、きつく拳を握る。
本当、俺は何をやってたんだよ。
携帯くらい、奪い返せば良かったのに。
そうすれば、風花は悲しむことなく文化祭を終われたのに。