鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『ねぇ、斎藤君』
『ん?』
『私ね、斎藤君の事、好きだよ!』
笑顔でそういった眞白に、言葉の意味が理解できなくて。
でも、よくよく考えてみれば。
こいつの言っている”好き”は、俺の”好き”とは違うんだろう。
そう思うと、勝手に口が動いていて。
『俺の好きと、お前の好きは違う』
気付けば、そんなことを言っていた。
目の前の真白は、一瞬驚いたような表情を浮かべた後、その表情を笑顔に変えた。
『ね、斎藤君!』
『ん…?』
『今日、バイトあるよね?』
久しぶりに見た、真白の笑顔に、俺も笑い返しながら頷く。
バイトか…本当久しぶりだな、こうやって話すのは。
『湊さんがね? 新しいケーキ考えて、それ作ってみたいんだけど…食べてみない?』
湊さん、いつの間に新しいメニュー考えてたんだよ。
あの人の仕事の速さには、毎回尊敬させられる。
『……ああ』
『本当⁇ ありがとうっ』
そう言って笑った真白に、言いたかった事が全部頭の中を飛んでいった気がした。
……まぁ、いつでも良いか。
とりあえず、元に戻れて良かった。