鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
優しい顔で真白の頭を撫でる湊さんと、そんな湊さんに照れてる真白。
転けそうになったのを支えてもらったり…いつも、バイトで見てる時とは違う2人を、これ以上見切れないと感じた時だった。
『……昴、俺、少し水族館回りたいんだけど、付き合ってくれね?』
『……尾行、良いのか?』
『いや、別に?
ほら、さっさと行くぞ!』
俺の腕を引っ張ってフードコートまで歩いた真翔に、無理矢理椅子に座らされた。
『……なんだよ?』
『……昴? どうしたんだよ。いきなり黙り込んで』
真翔の言葉なんて聞かずに、目の前で笑っている真白を見る。
真翔は気づいていたから、俺をここまで連れて来たわけか。
だからって……見ていたくない、なんて。
あの顔で笑う真白の前にいるのが湊さんって言うのが気に入らない、なんて。
そんな事、言えるわけ無いだろ。
『顔…怖いけど、どうした?』
『……帰る』
自分が何でこんなムカついてるのか。
何で…なんて、分かってるから余計にイラつきが増していく。
真翔の呼び止めを聞かず、真白と湊さんを背にして店を出る。
……俺、かっこ悪いな…本当。