鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
……みっちゃん行っちゃった。
1人でいると、さっきまでの光景が嫌でも頭の中を駆け巡る。
みっちゃんの嘘つき。
斎藤くんが勝手に避けてるだけって言ってたのに…。
飛鳥ちゃんと良い雰囲気だったなら、勘違いされたくなくて私と距離を置いてたんだよ。
だんだんと、思考が暗くなって行くのを感じながら腕に頭を埋めた。
『……風花?』
そんな私に、誰かが声をかけてきたのに反応して顔を上げる。
顔を上げた私と目があったのは、不思議そうに私を覗き込む祐希君だった。
『…祐希君……』
『あーあ、そんなに目腫らして。
何、1人なの? 仕方ねえし、俺がいてやるよ』
何を聞かずに明るくそう言って私の隣に座った祐希君は、そのまま私の頭に手を乗せた。
『…祐希君?』
『日向ぼっこしてんだろ〜? 俺も好きなんだよね』
そう言ってにっと笑った祐希君が、私の頭に乗せた手を動かして頭を撫でた。
……祐希君がいてくれて良かった。
これなら、みっちゃんが戻ってきてくれるまで大丈夫だ。
『何かあったのか?』
『……んー…どうだろ』