鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
不意にそう言った祐希君に驚いて声を上げると、私を見上げていた祐希君と目があった。
……バレてるんだ、やっぱり。
『風化にそんな顔させるのは斎藤だけだしな。
何があったとか聞かないけど。
俺の予想…そろそろ、斎藤くるぜ?』
斎藤くんが来る…なんて、そんな事有るはずないけど、その言葉を聞くだけで嬉しくなった。
『……斎藤くんは、来ないよ』
でもやっぱり、斎藤くんは飛鳥ちゃんと一緒にいたいはずだし。
私の所になんて来るはずがない。
『そうかなー、俺は絶対来ると思うけど』
そう言った祐希君に反論しようと目を見ると、真剣な目で見つめ返されて、思わず言葉が詰まった。
『ほら、来ただろー?』
そう言って口角をあげた祐希君の言葉と同時に、斎藤くんの声が耳に届いてきて。
思わず、座ったまま走ってきている斎藤くんを見つめて固まってしまった。