鈍感ちゃん(君)を攻略せよ！

『お前らの中に、入り込む隙間なんて最初からなかったよ』


そう言ってニヤッと口角を上げた祐希は、俺の肩に手を置いてから、俺の来た方向に歩いていった。


『……意味、分からねえ』


俺と真白の間に隙間がないって、どういう意味だよ。


じゃなくて。
そんな事、今はどうでも良いだろ。



『……真白』



『……んで、ここに斎藤くんが…？』



驚いたような表情から、我に帰った真白の言葉に、素直に謝ろうと口を開いた時だった。



『……風花、帰るわよ』



『あっ、みっちゃん！』



俺の後ろから現れた水門を見て、顔を輝かせた真白が水門に飛びついた。


……俺の最大の敵って、絶対水門だよな。



水門を見ると、馬鹿にされたように鼻で笑われ、頰がピクリとひきつる。


『残念ね、斎藤。
そうやすやすと上手くいくわけ無いでしょう』





ふんっと、再度鼻で笑った水門に連れられて、真白があわてた声を上げて消えて行くのを見て、溜め息が抑えきれなかった。