鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
笑いが落ち着いてきたところで、斎藤くんの真剣な声が聞こえてきて、抱きしめたまま斎藤くんを見るため、顔を少しだけあげる。
『俺の事、名前で呼んでほしい』
『……えっ⁉︎』
いきなりのお願いに、思わず斎藤くんの腕の中で固まった。
今日、固まる事が多い日だな…なんて、そんなことはどうでもいい!!
問題は、今の斎藤くんの発言だ。
だって、名前って…!
恥ずかしいにもほどがあるよ⁉︎
『それは…っ…』
『駄目か…?
祐希と葵は…名前で呼んでるだろ?』
少しだけ自信をなくしたかのような斎藤くんの声のトーンに慌てて、両手を振る。
『2人は、その…っ、友達だから‼︎
それに、祐希君は君付けだし!