鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『一応って……風花ちゃん、面白いな?
一応俺の名前言っとく。
俺は中嶋真翔。
南の彼氏』
そう言ってニコッと人の良さそうな笑みを浮かべた中嶋真翔君に、内心ホッとする。
良かった。
斉藤昴君は怖いから、一緒にいる中嶋真翔君も怖いのかななんて思ったりしたし。
『……俺もするのか? 自己紹介』
『当たり前だろ?
お前、ちゃんと俺の彼女にも挨拶しろよ』
眉間にしわを寄せて聞いた斉藤昴君の背中を軽く叩いた中嶋真翔君の言葉に、斉藤昴君が面倒くさそうに口を開く。
『……斉藤昴』
……うん。やっぱり怖いよこの人。
嫌そうに自分の名前だけ呟いた斉藤昴君を見て、心の中で断言する。
こんな事、口に出したら私の命ご危ぶまれる気がする。
『一応、私もしとくわ。
水門南。
真翔の彼女よ。
宜しく、斉藤君』
みっちゃんがそう言ったのをみて、軽く会釈した斉藤昴君を、最大限に離れた距離から盗み見する。
近くに行くのは怖いけど、ね?
みっちゃんがここにいる限り、私も動きたく無いし。