鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『そう言えば、風花ちゃんってうちのクラスの昴と仲良いよな?』
『ふぇっ⁉︎』
私の方を見ながら少し口角を上げてニヤニヤと笑身を浮かべた葵くんが、楽しそうにそう言う。
……なんか、変な声出たよ。
でも、何で斎藤君の名前なんかに反応なんかしてるのは、私。
『やっぱりなー…』
少しだけ悲しそうな感情を瞳に映した葵くんに、首を傾げて答える。
『風花ちゃん。
昴の事…好き……でしょ?』
そんな葵くんの言葉に、カラオケの筈なのに、周りの声なんか一切聞こえなくなって。
まるで、この空間に私と葵くんしかいなくなったような感じさえしてしまう。
今、葵くん…なんて言ったの?
『私が…斎藤君のことを⁇』
葵くんの言葉を繰り返しながら斎藤君を見ると、目がハートと化した飛鳥ちゃんと楽しそうに笑っていた。
……何だろう、これ。
胸の奥が、何かに掴まれたような感覚。
『そんな顔、しないでよ』
葵くんの言葉に、視線を斎藤君から葵くんに移すと、なぜか葵くんが悲しそうな顔をしていて。
『そんな顔って…』
『そんな、悲しそうな顔。
それって、今昴が飛鳥と話してるからでしょ??』
私が言い切るよりも先に、被せるようにそう言った葵くんを見つめる。
悲しそうな、顔…⁇
斎藤君が、飛鳥ちゃんと話してるだけなのに、どうして私が悲しそうな表情浮かべてるの。