鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『そんな顔させてるのが彼奴って事にはムカつくけど。
でも、風花ちゃんまだ気づいてないみたいだし』
俺の入り込む隙間はまだあるみたいだね。
そんな事を言って私にウィンクした葵くんに、苦笑いを返した。
その後も、葵くんの話を聞きながらチラチラと斎藤君に視線を移して…。
飛鳥ちゃんと楽しそうに話してるのを見て、葵くんにばれないように、小さくため息を漏らす。
斎藤君が飛鳥ちゃんと話しているくらい、何でもないでし、見なければいいじゃん…なんて、自分に言い聞かせてるんだけど。
どうしても視線が斎藤君達に向いてしまった。
『……よし、じゃあ今日はこれでお開きにしようか!』
カウンターからかかってきた電話を取ってそう言った飛鳥ちゃんの言葉で、合コンが終了した。
『……やっと終わった…』
『歌わないで済んだじゃない、風花』
疲れで肩を落として部屋から出た私の隣で、みっちゃんがそう言いながら笑みを浮かべる。
なんか、みっちゃん今機嫌いいですね。
どうせ長時間中嶋君といちゃいちゃできたからだよね?
『南、風花ちゃん‼︎』
今回のお金は男子もち…と言うわけで、早く帰りたかった私はみっちゃんと一足先にお店から出て歩いていたんだけど。
そんな、後ろから呼ばれた声で振り返る。
『どうしたの、真翔』
『あ、中嶋君‼︎』
振り返った私とみっちゃんの声が重なり、中嶋君が聞き取れなかったのか首を傾げる。
そんな中嶋君に、何でもないと伝えて、いつも通り中嶋君の隣にいる斎藤君を見る。
『斎藤君が合コンなんて、意外』
『……こっちの台詞。
俺は別に、人数合わせに呼ばれただけ』