鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
『な、中嶋真翔君。
私のみっちゃん奪ったんだから、泣かせたら許さないからね?』
少しずつ移動して、やっとみっちゃんの背中にたどり着いた私は、みっちゃんの背中から顔を覗かせて中嶋真翔君にそういう。
『えっと…俺の事、だよな?
風花ちゃん、俺の事、中嶋真翔君って呼んでるのかよ?』
……逆に、それ以外になんて呼べばいいのかわからないんだけど。
名前知ってるのも、この学校であなた方2人だけなんですよ?
男の子の名前を呼ぶ機会なんてそうそう無いし、そもそも、呼んだとしても諸事情だから名前なんてすぐ忘れるし。
自己紹介も眠くて寝ちゃうし。
それはまぁ、仕方ないよね?
頷いた私を見て、マジかと驚いたような表情を浮かべた中嶋真翔君が、突然、口元に笑みを浮かべた。
『なら、俺の事は真翔でいいよ。
長いだろ、フルネームで呼んだら』
『……中嶋君』
名前は、無理かな。
どんなに頑張っても、せめて中嶋君がギリギリのラインだよ。
『まぁ、それでもいいか』
短くなったのに変わりは無いしと言って笑った中嶋君が、軽く隣にいた斉藤昴君を小突く。