鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
斎藤君は、飛鳥ちゃんの事が好き…なんだよね。
なら、応援すれば良いじゃん。
飛鳥ちゃん、元気だし可愛いし運動できるし。
斎藤君とお似合いだし、何より飛鳥ちゃんも斎藤君の事が好きなはずなんだから。
……なのに、どうして?
変に、自分の中の何かがムカムカする。
スッキリ…しない。
素直に斎藤君と飛鳥ちゃんを応援できないのは、どうして?
お似合いで、両思いの2人を快く応援できないのはきっと…葵くんの言葉の通りだからなのかもしれない。
___『風花ちゃん。
昴の事…好き……でしょ?』
頭の中で、カラオケボックスでの葵くんの言葉がずっと繰り返し流れていく。
その言葉で、私の中のモヤモヤが晴れたように消えていく。
……ほら、やっぱり。
私はきっと、斎藤君の事が好きなんだ。
でも、斎藤君は飛鳥ちゃんが好きで。
きっと、飛鳥ちゃんも斎藤君が好きだから。
好きとわかった瞬間失恋するなんて、変な話だけど、私はもう入る隙間さえない。
少し、自惚れていたのかも。
バイトが同じで、毎回家まで送ってくれて。
湊さん以外で初めて仲良くなった男子で。
私以外に見せないような笑みを向けてくれる斎藤君の中で、自分は少しでも特別なんじゃないかって。
そんな訳、あるはず無いのに。