鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!




そう告げた後、すこしの沈黙が流れる。

さすがのみっちゃんでも、斎藤君は諦めろとか言うのかな?


分かってる…けど、辛いものは辛い。



『……知ってたわよ?』



何を言われるのかと構えていた私の耳に、そんな言葉が入ってきて思わず俯いていた顔を上げる。



『風花、斎藤と話してる時楽しそうだったもの。

私と話してる時と同じくらい』




気づいてたに決まってるでしょ、なんて言って笑みを浮かべたみっちゃんが、立ち上がって私を抱きしめる。



『諦めろなんて言わない。
風花の初恋でしょ? 大切にしなきゃ』


『……みっちゃん…っ』



みっちゃんの背中に腕をまわして、涙をこらえるために唇を噛んだ。


そんな私に気づいたのか、みっちゃんが私を連れてカフェを出る。



『風花、私の家来る?』


< 64 / 234 >

この作品をシェア

pagetop