鈍感ちゃん(君)を攻略せよ!
そう告げた後、すこしの沈黙が流れる。
さすがのみっちゃんでも、斎藤君は諦めろとか言うのかな?
分かってる…けど、辛いものは辛い。
『……知ってたわよ?』
何を言われるのかと構えていた私の耳に、そんな言葉が入ってきて思わず俯いていた顔を上げる。
『風花、斎藤と話してる時楽しそうだったもの。
私と話してる時と同じくらい』
気づいてたに決まってるでしょ、なんて言って笑みを浮かべたみっちゃんが、立ち上がって私を抱きしめる。
『諦めろなんて言わない。
風花の初恋でしょ? 大切にしなきゃ』
『……みっちゃん…っ』
みっちゃんの背中に腕をまわして、涙をこらえるために唇を噛んだ。
そんな私に気づいたのか、みっちゃんが私を連れてカフェを出る。
『風花、私の家来る?』