libido
情事後の淫靡な空気が漂う中、彼は一糸纏わぬ上半身を起こし、煙草に火を点けた。

「煙草、好きでしょ?」
「吸いませんけど」
「そうじゃなくて。煙草吸ってる男、好きそうだなと思って」

ベッドで欠伸をする私と紫煙を吹かす彼はマッチしているようで、どこかミスマッチな二人だと思った。

「ぁあ。私、指フェチなんで、確かにそうかもしれませんね。煙草って指が強調されるから」
「ふふ。俺は合格かな?」

煙草を挟んだ人差し指と中指が妙に艶っぽく見えた。

「ですね」

さっきまでその指が私の身体を弄っていたのだと改めて思うと、身体の中心部が熱を取り戻す。
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