放課後、ずっと君のそばで。


とうとう、時間がやってきた。


音楽準備室から『トランペット!』と、声がかかり、私達は無言で立ち上がって、トランペット9人で準備室に向かう。


トランペットを持つ手が震える。


膝にも力が入らなくて倒れそうだ。


私は、音楽準備室に入る前に、廊下の窓からサッカー部のいるグラウンドを見下ろした。


......いない。


こんな肝心な時になんでいないんだよ、コウちゃん。


コウちゃんの姿を見たら、緊張が和らぐと思ったのに......。


バカ......。


ガラガラと音をたてて開く準備室のドア。


パートリーダーの立花くんは、入る前にひとりひとりの目を見て無言で頷き、メッセージを送った。


ピシャリ。


ドアが閉まり、運命の瞬間が訪れた。



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