放課後、ずっと君のそばで。
40代の男の顧問、篠原先生が椅子に座っている。
眼鏡の奥から真剣な眼差しを送り、静かに口を開いた。
「はい、トランペット」
先生は深く息をはきながら言葉を続ける。
「トランペットの今年の課題は......」
課題は、なに?
楽譜のどの部分?
私はトランペットを力強く握りしめ、唾を飲み込んだ。
「40小節目」
......え?
40小節?
40小節目って、1stの誰かが吹く、ソロの部分だけど?
ちょっと待って。
それは1stの楽譜にしかのってないじゃん!
2ndの私は、練習したことさえないのに!
そんなの不利じゃん!!
「せ、先生......」
私が力んで抗議しようとしたら、隣に立っていた立花くんがそれを制して前に出た。