放課後、ずっと君のそばで。


「先生、それは不利じゃないですか? もちろん僕には有利だけど、他の人たちはここを練習したことさえないんですよ?」


そ、そうだよ!


私は声には出さなかったけれど、先生を見ながら強く頷いた。


「課題を変えるべきじゃないですか?」


立花くんが言うと、先生は大きく息をはいた。


「時間がないんだ。あとにはトロンボーンとパーカッションが控えてる。早く。立花から始めなさい」


有無を言わせない先生の言い方に、私達は少しムッとしてお互いの目を見合った。


なんなの?

どうしてそこじゃなきゃいけないの?


こんなの、絶対おかしい!


毎日、立花くんの吹くソロを聞いているから吹けないわけじゃない。


だけど、毎日吹いている立花くんと、今日初めて吹く私達じゃ差が出るに決まってるじゃん!


先生は一体、何を考えてるの?


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