放課後、ずっと君のそばで。
助けて、コウちゃん
オーディションの結果については、コウちゃんも愛美も何も聞いて来なかった。
だけどきっと、情報はふたりの耳には入っていると思う。
私もまた、なんともない雰囲気で接した。
オーディションがなんだ。
オーディションなんかで落ち込むなんてダサい。
音楽で一生食べていけるわけじゃないんだから、ここで終わってよかったんだよ。
これで、受験勉強に集中できる。
授業中に、上の空で先生に怒られることもないし。
最高じゃん。
「愛美。今日図書室寄って帰る?」
帰りのHRが終わり、鞄を肩に提げながら斜め前の席の愛美に声をかける。
テストも近いし、図書室で勉強でもしようかと思って。
家に帰ったら、集中出来なくて勉強なんか出来ないし。
「うーん、そうだねぇ。あんまり気ものらないけど、勉強しなきゃね。仮にも受験生だし」
愛美が苦笑いしながら、肩をすくめる。