放課後、ずっと君のそばで。


図書室は外の騒がしさが遮断され、どこか遠くの世界に来たみたいだった。


高校に入ってもう2年半にもなるのに、図書室に通うのは年に何回かしかない。


そのせいか、図書室ってなんだか緊張するし、落ち着かない。


私達は適当な席について、問題集を開いた。


筆箱からシャーペンを取り出す音や、問題集を開く音が、この静寂の中で大きく響く。


何から勉強していいのかわからないけど、とりあえず社会から始めよう。


ふたりで年号を楽しく覚える方法なんか見つけたりしてさ。


私は問題を読んで、黙々とカッコの中をうめていく。


目の前に座る愛美も、一言も喋ることなくシャーペンを動かしていた。


カリカリカリカリ......。

ふたり分の、シャーペンの音。


カシャ、カシャッ、カシャカシャ......。

まるでリズムを奏でるような、ふたりのページをめくる音。


窓の外から聞こえてくる、サッカー部がボールを蹴る音。


そして、音楽室から流れてくる、金管楽器の音色......。




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