放課後、ずっと君のそばで。
「続けるったって、もう続けようがないじゃん」
「.........」
「愛美も知ってるでしょ? オーディションの結果。私落ちたんだよ? 大会に出られないの。それでどうやって音楽を続けろって言うの?」
「だけど、まだ敗者復活が......」
愛美が言い終わらないうちに、私は勢いよく立ち上がった。
図書室の床はじゅうたんだったから大きな音にはならなかったけれど、数名が私達を振り向き、迷惑そうにまゆを潜めた。
身の置き場のない状況に、私は唇を噛み締めて目を伏せる。
そして、机の上に広げていた問題集や筆箱を乱暴に鞄につめ、その場を走り去った。
廊下を一気に駆け抜けると、私の足音が壁という壁に反射して校舎中をバウンドしている。
靴箱で靴を履き替え外に出ると、ムシムシとした湿気が体にまとわりついた。
気持ち悪い。
気分が最悪だ。
どうしてこんなときに一滴も雨が降らないんだろう。
梅雨だっていうのに、雨雲がどこにもない。
本当に気の効かない梅雨め。役立たず。
私は正門に向かって走った。
走り出さないと、感情の置き場がなくて狂ってしまいそうだったから。