放課後、ずっと君のそばで。

幼い頃の興奮



「え......? お母さん?」


翌日、学校が終わってすぐに病院に向かうと、何故かお母さんがベッドから起き上がり荷物をまとめていた。


私は状況が把握出来なくて、病室の入り口で立ち止まる。


「お母さん何してるの?」


「なにって、家に帰る準備よ」


お母さんが眉間にシワを寄せて答える。


「え? だって、え? 入院は? お母さんまだ寝てなくちゃダメでしょ?」


「何言ってるのよ。昨日もう十分寝たわよ」


「.........」


「これ以上寝たら逆に体がきついわ」


お母さんは荷物を全部まとめ終わると、私を見て眉を垂らして笑った。


「心配かけてごめんね。お母さん、本当にもう大丈夫だから」


「でも......」


言いかけて、言葉をとめた。


お母さんが、私に何も言わせないように微笑んでいるから。


お母さんは、また絶対に無理する。


今だって、本当はまだキツいのに無理して私のために笑っているのかもしれない。


お母さんは、いつもそうやって嘘をつくから。


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